人形の暮らしというのは引き取られた家庭によるので一般論はありませんが、
私の過去の見聞録から話すれば「主人の愛情を取り合うこともあります」
ちなみに、人形すべてが主人の愛情を巡って不仲になるかといえば、
そうではありません。
ただし、人間の世界にあるものは、大抵人形にもあるものです。
今回は、諍いがある場合の話をします。
実際に、ドール同士相性が良くて平和なこともありますのでね。
私は諍いも和睦も同盟も平和も経験ありです(笑)
7体しか家にいないのに…
ちなみにですが、お互いに興味があるから衝突するのであって、
お互いに無関心なら争いは起こりません。
これは人間も同じですが、実はドール同士お互いに興味がない、
なので一見仲良しに見える。という構図もあります。
だいたいは写真を見ると分かります。
相性が悪いと不仲オーラも出しますし、今さりげなく虐めただろ、
というのも、自分のドールでも他人のドールでも実際に見たことがあります。
見た時は、うわぁ…、って感じです。
最近びっくりしたのが、DD雪ミクが忍穂をあからさまに拒否した時でしょうか。
紫月を棚に収納するため、忍穂を雪ミク側に寄せようとちょっと動かした時に
「来ないで!」みたいな感じで手が出たんですよね。
手が出たというか何というか、手が触れ合った瞬間、バシッ!と。
ガタッとスタンドが揺れて、肌にビリッときました。
まさか雪ミクさんを叱る日が来るとは…と、ショックでした。
雪ミク大好きすぎてヨイショしすぎちゃったかなぁ、と悩んだり。
里子に出すか悩み、友人に連絡したこともあります。
不仲なドール達がいる一方で、お前らデキてんのか?というドール達もいます(笑)
それが少年ドール同士だと別の意味で胸が熱くなりますね。
ドールの世界も奥が深い(意味深)
ドール同士の不仲は、大抵は持ち主の人間に原因がありますが、
実は100%そうかというと、そうとも言い切れない。
人形の世界は、実は人間とも物とも、少し違っているようです。
現在普及しているキャスト製球体関節人形の場合、存在的に大差ないです。
工房、会社、限定モデル、その他いろいろな付加価値があるとは思いますが、
総じて人形の立場から見たら、お互いにレジンキャストの塊でしかないわけです。
つまり、
「同じキャストドールで、なぜお前だけがそんなに特別なのか。納得できん」
となるわけですね。
ドールはドールを呼ぶんですけど、時に歓迎してないこともあるんですよね。
仕方ないじゃん惚れちゃったんだもん…というのが人間側の言い訳なんですけど。
知るかと一蹴したいけど、もうお迎えされて自分の隣に居やがるし。
誰の許可とってお迎えしたんじゃ、って声が聞こえてきそう。
少女人形と少年人形とで大した差は無いように思われます。
が、男の嫉妬は醜い、そして女は強い(笑)
複数体ドールを抱えていると、平等に扱うのに気を使うことがありますね。
ドールの性格もあると思いますが、
イベントに置いていこうもんなら顔色変える子がいたり、
別の子を膝に乗せただけで不機嫌なオーラ出す子もいたり。
まぁ、最初っから喧嘩ばっかりするわけじゃありませんよ。
人形同士にも相性ってのがある。
人間もそうですよね?
相性が悪かっただけ、それだけなんです。
人形同士の相性なんて、顔を合わせるまで分かるわけないじゃないですか。
お店に家の人形全員連れてお迎えに行くわけじゃあるまいし。
以上、簡単ではありますが
「あの子が家で一人で寂しいかもしれないから新しく人形を連れてきたのに、
あまり仲が良さそうではない」
の内訳になります。
里子でよく聞く「馴染めない」の理由の一つも、これなのではないか、と思います。
しかしながら、それほど心配することでもありません。
一緒に暮らしているうちに、自然と落ち着いていきます。
同じ人間を主人に持つ者同士、諍いながらも着地点を見つけることができるのです。
■人形関係も深い
各オーナー様のドールを拝見しますと、
やはり一番愛されているドールには愛される理由があります。
オーナー個人の思い入れもありますが、
「あの人の理想のドールになるために」
努力を惜しまなかったドールはやっぱり違う。
キャスト製ドールはカスタマイズして自分の理想のドールを作り上げることができるのが醍醐味。
オーナー様とドール、ここまでずっと二人三脚で歩まれて来たのだなぁ、
と思います。
某楠ドールのあるあるネタですが、
特にSDの世界ってヒエラルキーが勝手に形成されていって、
どんなSDかでオーナーの目まで違ってくるような世界なんです。
というか、そうゆう世界になっちゃった、って感じがしています。
SDには辛いものがあるようですが、それもまた宿命なのか。
人形の問題=オーナー自身が問題であることが多いのですが、
やはり100%そうである、とは言い切れません。
人形には人形の言い分があり、
(厚かましくも)主人は自分が一番可愛いと思っているので、
だから自分を一番に可愛がるのは当然だし、
優れている、美しい故のプライドもあるでしょう。
同じ人間を主人に持つ者同士、というのは時として実に複雑です。
人形には、その外見はある意味無意味です。
青年も少年も幼児も関係ない。
相手は自分と同じ人形である。
人形には血縁という概念が希薄な感じがします。
同じ工房で作られたので「同胞」(日本語の「はらから」=兄弟姉妹)
それ以外は、主人の人間の意向に従うのか。
人間にはよくありますが、
お世話になっている目上の人を「お兄さん」「お姉さん」と呼ぶ。
他人同士なのに姉妹の誓いを交わしたりする。
そんな感覚に近い。
深谷家もそうです。
皆さんに紹介する時は分かりやすく兄弟姉妹という血縁の言葉を使いますが、
実際の彼らには兄弟姉妹の感覚はないようです。
一方で、別の人間が所有する人形を見た時は違います。
相手が主人にとって無害なら友達、なのでしょう。
ここで、初めて「お友達」ができるわけですね。
人間と似ています。
また、「情」というのを理解し、獲得するには、
それなりの経験や年数が必要かもしれませんね。
「愛」は直接肌で感じることができても、
相手への「情」を自覚するには愛以上にその相手と深い関係が必要なもの。
これらは独りでは学べないものです。
目覚めた時から情に厚く、義理堅い性質のドールはいません。
■結局、中身が似たもの同士
その人間と相性が良いということは、結局人形も同じような性質なんでしょうね。
類は友を呼ぶ。なので、家には同じ性質の人形が揃うのであります。
そうゆう人形になっていく。
似ているようで似てなくて、でもやっぱり似てる。そんな感じ。
人形ってのは私たち人間が考えるよりはるかにドライなものですから、
主人が傍にいて可愛がってくれていれば、他はどうでもいいフシがあるらしい。
こっちは仕事や学校で家を空けがちで、
人形が寂しくないか心配してるってのに(苦笑)
ドールが増えたら増えたでドラマが増えますから、
問題があっても楽しいものです。
安心して、新しいドールをお迎えください。
その際は、先住のドールとお財布に相談することをお忘れなく。